noteに投稿した記事をこちらに再度掲載いたします。
→「ゆっくり芽を出せ柿のたね」
私の考える0歳から5歳までの育ちの道すじの中で
0歳から2歳では、乳児に必要な身体使いを
3歳から5歳では、脳の新しい皮質である人間脳を働かせるといった
取り組みがあります。
そのことは
0歳から5歳は神経系を
6歳からの学童は体力系を
中学からは筋肉系を育ててゆくという
”育つ道すじ”があると考えているからです。
つねに唱えている「生きる力の強い子」とは
集中力・体力・気力から全体をみる力・目的を持つ力・
そのための工夫をする力など、
主体的に物事を見て行動に移せる力を持てる子です。
これは指示されるのではなく、工夫することで生まれる大切な力です。
これらの必要な力は乳幼児期の生活の中で、
知恵として身に付いてゆきます。
脳と身体を総動員することで“生きる力”となるのです。
乳幼児期は体験の中で学ぶ大切な時期です。
早期教育は子どもの力を
もぎ取ってしまう心配があることから
園では行っていません。
園では自由を保障する中で
子どもの “生きる力”をしっかり身につける
子育てをめざしています。
乳幼児期に早期教育ではなく、
身体と心を育て脳の神経系がしっかり育った。
言い換えると、早期教育をせず子どもを信じ、
育ちを待つことができた。
そんな新一年生の保護者の方のレポートをご紹介します。
「生きる力」をはぐくむために 〜乳幼児期に「お勉強」は必要? 〜
小学校入学から1か月が経ちました。
子どもは学校で習ったばかりの平仮名を使い、
たくさんお手紙を書いてくれます。
少し前まで自分の下の名前をかろうじて読める程度だったのに、
短期間でここまでできるようになるのかと、感動する毎日です。
在園中は、園の方針に従い、あえて平仮名を教えていませんでした。
ところが年長の11月頃、
子どもが本屋で見かけたドラえもんの平仮名ドリルを欲しがり、
深く考えずに買いました。
数回、自分でドリルをやっていたようです。
その約1週間後、先生から
「最近家でお勉強をさせていませんか? 落ち着きがなくなりました」
と言われてハッとしました。
先生から教えていただいたのは、生活の残り数か月間、
遊びに集中し、目の前の課題に取り組むことがいかに大切かということ。
また「お勉強をしてはだめ、と言うのではなく、
小学生になったときの楽しみにとっておく、と伝えるといい」との
アドバイスもいただき、夫婦で認識を揃えてから子どもと話しました。
最終的に子ども自身が納得してドリルを引き出しの奥にしまいました。
規則正しい生活習慣と食生活を土台に、
心と身体を開放して仲間たちと目いっぱい遊んだ子どもは、
3月末の卒園式まで大きく成長しました。
竹馬や逆上がりなどの年長課題に対しては
「親や先生に褒められるため」でも、「誰かに勝つため」でもなく、
ただひたすら「自分のために」黙々と取り組みました。
子どもの集中力や諦めない姿勢には圧倒されるばかりでした。
それは、小学校の勉強を先取りさせながらでは、
獲得できなかったものかもしれません。
乳幼児期に本当に必要なことは何なのか。
子どもの可能性を潰さず、「生きる力」をはぐくむために、
親は何をするべきなのか。
大切なことに気づかせてくださった先生方には感謝しかありません。
保育圏でじっくり、着実に成長し、
自信をつけた子どもは今、「国語も算数も楽しい」と
生き生きと学校に通っています。
園が大事にしている「ゆっくり芽を出せ柿のたね」の意味を
改めて実感しています。
2024年3月卒園児保護者
入学して、学びに意欲的で、
そして放課後も仲間と共に楽しむ姿が浮かびます。
とにかく大人は子どもの育つ姿に環境を工夫すること
そして子どもを信じることですね。